交通事故の後遺症「胸郭出口症候群」について知ろう!

車1

交通事故によって、胸郭出口症候群になる場合があります。これは、どのようなものなのでしょうか。これから、胸郭出口症候群について、原因や症状・治療法などをご説明します。また、交通事故によって引き起こされた胸郭出口症候群の場合、後遺障害等級の認定が可能です。

認定されやすい等級などもご説明しますので、参考にしてみてください。

胸郭出口症候群の症状や原因とは?

交通事故4

胸郭出口症候群とは、腕や首・肩などにしびれや痛みを感じるものです。胸と首の間は「胸郭出口」と呼ばれ、そこを骨や筋肉が圧迫すると、しびれなどの症状が出てしまいます。しびれや痛みだけでなく、肩こりや頭痛を引き起こす場合もあり、さまざまな症状がある場合に胸郭出口症候群と表現するのです。

つまり、交通事故の外傷によって骨や筋の位置が変わってしまうと、胸郭出口症候群になる可能性があります。胸郭出口症候群の原因は、上肢と肩甲帯の感覚や運動を支配する「腕神経叢」が圧迫されることです。腕神経叢は、脊髄から出てくる第五頸椎から第八頸椎・第一胸神経からなります。

この部位が圧迫されると、しびれなどを引き起こしてしまうのです。しびれなどの症状は腕を上げる動作で出現しやすく、洗濯物を干す時や電車でつり革をつかむ時に感じやすいでしょう。また、神経障害だけでなく血流障害も関係しています。

特に鎖骨下動脈が圧迫されると、痛みやしびれが起きやすいです。血管が圧迫されていると、腕は青紫色や白色になります。交通事故による胸郭出口症候群は外傷性になりますが、「頸肋」が原因の非外傷性のものもあります。

これは、胎児の時に胸郭出口にあった肋骨が、消失しなかったことが原因です。また、なで肩の人は肩甲骨が下がって、神経や血管の位置が変わりやすくなっています。よって、胸郭出口症候群になりやすいのです。

胸郭出口症候群の診断と治療方法とは?

胸郭出口症候群の診断は、視診と触診・レントゲン検査などをします。まず、血管を圧迫している場合は、腕の血色が悪くなっていないかを確認するでしょう。触診では、鎖骨上窩の頸椎付近を触り、骨性隆起の有無を把握します。

最終的に、レントゲン検査や血管造影検査・神経検査などをすることが多いです。治療は、原則的に保存療法をします。理学療法の温熱治療、ノイロトロピンなどを使う薬物療法になるでしょう。装具を着用して、様子をみることもあります。

神経のしびれや痛みが強い時は、神経ブロックや斜角筋ブロックなどが有効です。保存療法でも改善しない時は、第一肋骨や頸肋・前斜角筋の切除手術をして、神経を圧迫する原因を除去していきます。

胸郭出口症候群は後遺障害認定では何になる?

胸郭出口症候群は、後遺障害認定で12級13号、14級9号のどちらかになる可能性があります。後遺障害認定を受ける時は、交通事故による外傷性胸郭出口症候群と診断され、治療後もしびれや痛みが残っている場合です。

また、後遺障害の認定を受けると、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できるようになります。神経障害が残った場合は14級9号、神経症状が重い場合は12級13号です。

12級は医学的に証明できるもの、14級は医学的に説明できるもので区別します。

12級の認定を受けるためには、医学的に証明できる資料がないといけません。例えば、X線画像やMRI画像による他覚的所見によって、症状の証明をします。これらの画像は、医師が医学的な知識に基づいて、末梢神経障害を認識したと判断できるものです。

また、神経異常を調べる神経学的検査、血管の状態を確認する血管造影検査も有効とされています。14級は症状が医学的に説明できるものですが、他覚的所見がなくても構いません。しかし、説明できると評価されるためには、一貫性や連続性などの条件があります。

条件に当てはまっていないと、説明可能と評価されず、後遺障害等級の非該当になってしまうでしょう。14級に認定されるためには、「時間が経ってからも痛くなる」「新しい症状が出現した」「交通事故直後よりも悪くなっている」などの説明ができると、認定されやすくなります。

14級では、交通事故直後から診察や治療を受け、治療経過に伴う症状の変化を記録することが大切です。

交通事故よりも前に胸郭出口症候群になっていた場合

交通事故8

交通事故に遭う前から胸郭出口症候群になっている場合があります。その場合、既往歴の確認後、「素因減額」になる可能性があるので注意しましょう。胸郭出口症候群の既往歴があった場合、被害者側にも素因があったとみなされてしまいます。

これは、過失相殺と同じように一定割合の減額によって解決することが多いです。減額する割合は、被害者の状態によってそれぞれ異なります。数%の人もいますが、80%~90%の減額もあるので、注意が必要です。胸郭出口症候群を発症しやすいのは、「なで肩の人・筋肉質の人」です。

なで肩の場合、肩甲骨が下がることで、神経や血管自体が動き、通常の位置にある骨や筋肉が神経を圧迫してしまいます。筋肉質の人は、筋肉が発達しすぎて骨を引っ張りやすくなります。よって、骨や筋肉の位置が変わり、神経や血管を圧迫してしまうのです。

なで肩や筋肉質の人は胸郭出口症候群を引き起こしやすいとされていますが、なっているとは限りません。よって、交通事故で胸郭出口症候群になってしまっても、それらが素因として減額されることはないでしょう。つまり、素因減額になるのは、すでに胸郭出口症候群として診断されている場合のみです。

胸郭出口症候群で後遺障害認定された具体例とは?

40歳男性、年収480万円の人が交通事故に遭い、胸郭出口症候群として診断された場合です。被害者に過失はありません。

入院は1ヶ月間でしたが、その後の経過が悪く8ヶ月間通院をしました。交通事故が原因で仕事を休んだのは2ヶ月です。後遺障害等級の申請では、症状の経過が悪く、画像などの他覚的所見を提出したことで、12級13号に認定されました。

この場合の損害賠償額は、約1500万円です。その内訳は、後遺障害の過失利益と慰謝料・入通院費の慰謝料・休業損害になります。入院雑費を請求することも可能です。後遺障害の過失利益は、「(年収480万円)×(労働能力喪失率0.14)×(67歳までのライプニッツ係数14.643)」で計算でき、約984万円になります。

慰謝料は280万円~300万円で計算することが多いです。入院通院費は約150万円、休業損害は約80万円になります。入院雑費は、「入院日数×1500円」などで計算するといいでしょう。

(バイクの交通事故で、後遺症が残ったら?補償金はどうやって受け取るの?)